東京五輪・パラリンピック期間中は、世界中から1000万人以上が東京を訪れるとみられている。その時、道路状況はどうなるのか。約半世紀ぶりに東京で開かれる世界的イベントだけに、相当な混乱を覚悟しなくてはならない。
◆道路は「超渋滞現象」でまったく動かない
まずは五輪開催期間中の「道路事情」だ。2月4日、赤羽一嘉・国交相は五輪・パラリンピック期間中、首都高速への「ロードプライシング」導入の方針を固めた。午前6時~午後10時のマイカー通行料金が1000円増しとなる。
一般道では、国立競技場など都心部の会場周辺道路に「ピンク色のライン」が引かれる。有明や外苑などに設けられる関係車両しか通行が許されない専用レーン(計4.3km)は実線、辰巳や渋谷などに設置予定の優先レーン(計19.8km)は破線だ。一般の車が通ると取り締まりの対象となる。
普段から混み合いがちな都内の道路で「東日本大震災後に都心で起きた大渋滞のような現象が部分的に起きる懸念がある」というのは東京大学生産技術研究所の大口敬教授(交通制御工学)。
「震災後は道路に車があふれ、歩行者がひっきりなしに横断するなどで渋滞が発生。その列が隣の交差点にまで延びる“先詰まり”が複数個所で同時多発的に起き、まったく動かないほどの『グリッドロック(超渋滞現象)』になった」
それがこの夏も起きる可能性があるというのだ。
「東京の道路に車線数の余裕はない。そこに専用レーンを設けたり、車線規制を敷くと、その周辺でグリッドロックが生じるリスクは大きい」(大口氏)