「銀座に昔あったサウナでは、これからクラブに行く男たちが株や女の話をしていた。ああいうギラギラした男の隠れ家みたいなサウナはなくなっちゃったね。今のサウナは健康的(笑い)」
そう懐かしげに振り返るのは、サウナ歴30年以上の“サウナ王”こと太田広氏。年間320日以上サウナに入るという温浴業界最強の経営コンサルタントだ。
いまや数多くの有名人がサウナー(サウナ好き)を公言し、人気沸騰でサウナをテーマにしたドラマ『サ道』(テレビ東京系)も昨年放送された。太田氏によると、人気の広がりにはSNSも密接に関わっている。訪問したサウナの感想をSNSに投稿し、他のサウナーの投稿を参考にして、各地のサウナを巡る。それが現代の「サ活」(サウナ活動)だ。20代のサウナーも珍しくなくなったが、太田氏は、「サウナブームはあくまでも都会だけのものです」と注釈をつける。
「現状は都会のサブカル趣味のようなもの。実際、地方のサウナの業績は伸びていません」
サウナを真にメジャーな趣味にするために、太田氏は地方都市に良質なサウナ施設を増やし、全国的な盛り上がりにつなげることが重要だと語る。その想いは、太田氏がプロデュースした関東最大級の施設「かるまる池袋」にも込められている。4種類のサウナと水風呂を用意した理由は、ある意味での啓蒙だ。