受験シーズンも佳境に入った。入学試験ではマークシート式を含めた「選択式」の問題も数多く出題されているが、当てずっぽうの“山勘”では正解できないほど難易度の高い設問形式もある。果たして、選択問題で正解率を上げる攻略法はあるのか──。ニッセイ基礎研究所・主席研究員の篠原拓也氏がアドバイスする。
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中学・高校・大学の入学試験はもちろん、学校での中間・期末試験、会社の入社試験、そのほか多くの資格試験……と、各種試験ではよく選択式の問題が出題される。
受験者には、問題に対する複数の選択肢が与えられていて、その中から回答を選ぶ。選択式の問題は、回答が正解か不正解かがはっきりするため、記述式よりも採点が正確で、簡単だ。さらにマークシート方式にすれば、機械で採点することもできて、作業の時間と労力を削減できる。
選択式の問題の場合、受験者は答えがわからなくても、当てずっぽうで答えることができる。それでは、当てずっぽうの回答が正解となる確率はどれくらいあるのだろうか。少し考えてみたい。
まず、具体的な問題を設定しよう。理科の星座の問題を取り上げてみる。
【問題1】つぎの(a)~(c)のうち、春の星座はどれですか。1つ答えなさい。
(a)しし座 (b)オリオン座 (c)ペガスス座
これは、典型的な三者択一の問題だ。正解は(a)のしし座。当てずっぽうでも、3分の1、つまり33%の確率で正解できる。では、次の問題。
【問題2】つぎの(a)~(c)は、四季の星座から1つずつ取り出したものです。春、夏、秋の星座はそれぞれどれか、1つずつ答えなさい。
(a)わし座 (b)おとめ座 (c)カシオペア座
この問題は、選択肢の3つの星座を春、夏、秋に対応させるものだ。正解は、春が(b)のおとめ座、夏が(a)のわし座、秋が(c)のカシオペア座となる。回答の種類は、3の階乗で6通りあり、当てずっぽうの場合、17%の確率で正解することになる。これは、サイコロを振って「1」の目が出る確率と同じだ。それでは、次の問題はどうか。
【問題3】つぎの(a)~(c)は、四季の星座から取り出したものです。このうち春の星座はどれか、すべて答えなさい。
(a)こと座 (b)おおぐま座 (c)うしかい座
この問題は、(a)~(c)の各選択肢が春の星座かどうかを問うもので、正確な知識が求められる。(b)のおおぐま座と、(c)のうしかい座が春の星座で、この2つを選んだ回答が正解となる。
それぞれの選択肢ごとに春の星座か否かが考えられるため、回答の種類は2の3乗で、8通り。ただし、「(a)~(c)の選択肢のいずれも春の星座ではない」という回答が正解となることは、よほどのイジワル問題でもない限り、考えにくい。そこで実際には7通りと考えてよいだろう。当てずっぽうの場合、14%の確率で正解することになる。
このように、選択肢が3つの場合でも、出題の方法によって、問題の難易度は変わってくる。そして、当てずっぽうで正解する確率も変わってくる。