老いについて医療者として取り組み続けている諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師。認知症か軽度認知障害かを診断する簡単なテストについて鎌田医師が紹介する。
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昨年の秋、ぼくが出演しているラジオ番組「日曜はがんばらない」(文化放送、日曜朝10時~)に、ゲストとして山本朋史さんを招いた。ぼくが以前、「週刊朝日」で連載していたときの担当編集者だ。新聞記者の経歴もあり、故・永六輔さんは「敏腕記者」といつもほめていた。
その山本さんに異変が起きたのは、60歳を過ぎたころ。たった一か月半の間に、ズボンのファスナーの締め忘れが13回、電車で乗り過ごしたのが13回、会合のダブルブッキングが2回、人の名前が出てこないのはもはや日常茶飯事だったという。
大学病院のもの忘れ外来で、改訂長谷川式簡易知能評価スケールなど認知症の4つの検査を受けると、軽度認知障害(MCI)と診断された。軽度認知障害は、認知症の予備軍の段階。放っておくと4年で14%が認知症になる一方、生活習慣を改善することで約半数が健常に戻るといわれている。
山本さんには、ラジオ番組で軽度認知障害になった体験を語ってもらったのだ。
認知症か、あるいは軽度認知障害かを診断する場合、ぼくの外来では簡単なテストをする。初めに「今から言う数字を覚えておいてください」と言って、4つの数字を口頭で伝える。例えば「0628」。そして、別の質問をしたり、家での様子について聞いた後に、最初に伝えた数字を思い出してもらい、逆側から言ってもらう。正解は「8260」だ。
読者のみなさんも、できるかどうか、ぜひ、やってみてほしい。