医者は患者に健康を説く立場だが、必ずしも自らの健康管理を徹底できているとは限らない。
自律神経研究の第一人者で、ベストセラー『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)の著者である順天堂大学医学部教授・小林弘幸医師もまさにそう。つい深酒や大食いをしてしまうこともあるという。それでも小林医師が健康を保てる秘訣は「不摂生をリカバリーできる習慣を知っているから」だ。新刊『不摂生でも病気にならない人の習慣』(小学館)も話題の小林医師がいう。
「私は背油たっぷりのこってりラーメンが大好きで、深夜に有名店の行列に並ぶこともあります。焼肉も大好物で、先日は7人前を平らげてしまいました。医師になって運動する機会も減りましたし、野菜も苦手でつい最近まで食べられませんでした。付き合いで深酒する日も少なくありません」
これらはすべて“やってはいけない習慣”のように思えるが、小林医師は、「むしろ我慢するほうが健康を害するリスクがある」と話す。
「好きなものを無理して我慢し続けると、多大なストレスがかかって自律神経のバランスを乱してしまいかねません。常に自分を律することが難しい以上、大切なのは“不摂生をリカバリーする正しい習慣”を身につけることなのです」(以下「」内は小林医師)
◆痩せるには「食事制限」でなく「間食」
メタボ解消や生活習慣病の予防に「食事制限」が必須だと考えている人は多いだろう。しかし小林医師は、食事制限よりも「間食を増やす」ことが正解だという。
「安易な食事制限は栄養不足やストレス過多を招きます。むしろ痩せるためには、ちょっとした間食をとったほうがいい。そうすると副交感神経の働きが高まり、腸の働きが活発になります。その結果、消化吸収が高まって、食べても栄養素が脂肪になりにくい。