世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。豪華クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は、船内に感染者がいたことが発覚し、乗員乗客約3700人を乗せたまま、横浜港で停泊している。
では、クルーズ船の感染者はどこに搬送されるのか。
新型コロナウイルスは、感染力や重症度が最も深刻な「第一種感染症」(エボラ出血熱、ペストなど)に次ぐ「第二種感染症」(結核、SARS、鳥インフルエンザなど)に相当する。
このウイルスに感染すると、「第二種感染症指定医療機関」に加えて、より充実した設備のある「特定感染症指定医療機関」と「第一種感染症指定医療機関」の3つが受け入れ先の医療機関になる。
「クルーズ船内の検査で新型コロナウイルスの感染が7日までに判明した乗客は、神奈川県と近隣の東京、静岡、埼玉、千葉の1都4県にある受け入れ先医療機関に搬送されています。近隣県まで広げたのは、各病院で受け入れられるキャパシティーが数人程度のためです。搬送には、災害派遣医療チーム(DMAT)の車両や民間救急サポート車を利用します」(厚労省関係者)
厚労省のホームページによると、神奈川、東京、静岡、埼玉、千葉に感染症指定医療機関は52か所ある。だが、どの機関が何人の感染者を受け入れたかは、個人情報保護などを理由に公表されていない。
不気味なのは、新型ウイルスが劇症化しているように見受けられることだ。中国・武漢市のある湖北省の衛生担当者は、武漢市で新型コロナウイルスに感染した人の死亡率が4.06%であると発表した。
感染力の強さも懸念される。新型コロナウイルスは、咳やくしゃみによる「飛沫感染」と、飛び散ったウイルスに直接触れる「接触感染」が感染経路とされてきた。ところが──。
「中国メディアは、空気感染の一種である『エアロゾル感染』の可能性があると報じました。エアロゾル感染は水分が蒸発しウイルスが空気中を漂うため、空気感染の一種とされます」(全国紙社会部記者)
エアロゾル感染は医学的に認められていないが、自治医科大学附属病院感染制御部長の森澤雄司さんは、「それでも感染力の強さには注意してほしい」と指摘する。
「1人の感染者から何人に感染させるかを示す指標として、アールノート(基礎再生数)というものがあります。インフルエンザが2人前後、新型コロナウイルスは3人前後あるといわれています。
また3日で熱が下がって5日ぐらいで回復するインフルエンザと違って症状が長く続き、基礎疾患のある高齢者などではその後に悪化することがあるようです。
しかもこのウイルスは無症状のかたからも感染することが疑われており、知らない間に拡大する可能性が考えられています」
※女性セブン2020年2月27日号