1月下旬に報じられた、東出昌大(32才)と唐田えりか(22才)の不倫騒動。愛妻家として認識されていた東出が、妻である杏(33才)を第3子妊娠中から裏切っていたことやその期間が2年半にわたっていたこと、そして唐田が東出との交際を匂わせる写真やコメントをSNSに頻繁に投稿していたことで、世の女性たちの激しい怒りを買った。そのバッシングは凄まじく、東出はCMを、唐田はドラマを降板している。ここまで“炎上”したのは、なぜなのか。
コラムニストの今井舞さんは、「もともと“優等生”だった芸能人ほど、世間からバッシングされやすい」と言う。
「“不倫は悪いことなのだから、どんなに叩いてもかまわない”という風潮は、4年前のベッキー(35才)と川谷絵音(31才)の不倫報道が大きな契機となりました。それまでスキャンダルもなく、優等生の印象が強かったベッキーが不倫していたうえ、『交際していない』と嘘までついていた。世間は“裏切られた”という怒りに加え、それまで芸能界においていい感じの立ち位置にいたタレントが、自分たちの攻撃により追い詰められていくさまに、快感すら覚えるようになった。この件で、世の中が“芸能人のつるし上げはエンターテインメントになる”と気がついてしまったのです」
中世ヨーロッパでは、庶民が処刑の様子を鑑賞する風習があったが、ものによっては「それに通じる残酷さすら感じる」と今井さんは話す。
確かに、芸能人の不倫に世間がここまで過剰に反応するようになったのは、つい最近のことだ。
昭和の名優・勝新太郎さん(享年65)が女優・原田美枝子(61才)をはじめ、数々の女性と浮名を流した際は、「勝新らしい」「女遊びは芸の肥やし」と好意的に見られる風潮すらあった。それから時間を置いて、長谷川理恵(46才)との不倫騒動の渦中にいた石田純一(66才)が「不倫は文化」と言い放った時でさえ、一時は大バッシングにあったものの、今回のように当事者たちを「芸能界追放」「一発アウト」に追い込むことはなかったはずだ。なぜ今、ここまで世の中の女性たちの感情は「怒り」一色なのだろうか。
もとは普通の主婦でありながら、ツイッターのフォロワー数は17万人を超え、女性セブン連載『立て板に泥水』でも知られる深爪さんは、SNSの普及が一因ではないかと分析する。
「SNSは“いいね”を押すことで共感を可視化した、いわば共感増幅ツール。これまでも芸能人の不倫に対しては批判的な感情を持つ人が少なからずいましたが、友人や家族など少人数の間で共有される程度だった。しかしSNSが普及した今、1人が“そんなの許されない”という声を上げると、同調した人が“いいね”や“リツイート”で拡散していってしまいます」
共感に裏打ちされた怒りは、ますます増幅されていく。
◆炎上の背景にある“匂わせ”は新しい行為なのか?