今回の新型肺炎で武漢滞在の邦人救出という重大ミッションを背負い羽田を飛び立ったのは、政府がチャーターした全日空(ANA)機。
「ANAにチャーター便の依頼をしたのは、もともと武漢に定期便を就航していたから。ただ飛ばすだけならばどの会社でも可能だが、現地当局との折衝や乗客の案内を担う地上職員なども必要になる」(外務省関係者)
パイロットや客室乗務員(CA)など運航に必要な人員は特別に募ったわけではなく、通常業務として割り当てられたが、ANA関係者によれば「拒否する社員はひとりもいなかった」という。
1月29日の第1便の時点では、ウイルスに関する情報も十分とは言えなかった。そうしたなか、クルーはリスクのある乗務にどう臨んだのか。
「パイロット以外ではCAが1便に6人乗務した。当初は通常の制服にマスクと手袋だけでしたが、無症状でもウイルス感染者がいることが判明した3便目以降は防護服、ゴーグル着用になった。武漢空港で邦人を乗せる前に防護服を着た後はトイレにも行けない。スカートでは着用できないので下は私服だったそうです」(前出の外務省関係者)
武漢から羽田までは約3時間半のフライトだが、機内サービスも通常通りとはいかない。