東京での五輪開催が決定したのが2013年9月7日。以来、大小様々なトラブルが頻発。エンブレム盗作疑惑、新国立競技場完成するも「座席が狭い」「椅子が固い」「トイレが汚い」などの不満続出、マラソンの札幌開催への変更などなど…。
本来、選手が主役であるはずの五輪。しかし、数々のトラブルを見ていると、選手は蚊帳の外だ。神戸大学大学院現代文化論教授の小笠原博毅さんはこう指摘する。
「IOCは4年に1度、五輪をやっているという事実を積み上げていくことの方が大事なのであって、別に東京開催でなくてもいいんです。貴族階級の人たちが世界規模のイベントを司っているということが示せればいい。五輪のスケジュールはアメリカのテレビ局の都合に合わせているということは既にあちこちで指摘されていますが、その通りで、五輪によってスポーツは政治や金と密接に結びつき、一大産業になっているのです」
不満や不安があっても、一度決まったことは覆すことができない。それが問題だ、とコラムニストの小田嶋隆さんは苦言を呈する。
「招致が決まる前は反対意見も3割ぐらいはありましたが、いざ、決定するとそれを取り上げる新聞やテレビもなくなってしまった。また、決まってしまったら、グダグダ言わないで支えようという日本国民のメンタリティーもある。そうした日本人気質を利用して、押し切ってしまおうという考えがIOC、JOC、大会組織委員会、東京都の中にはあるのだと思います」(小田嶋さん)
運営はIOCが牛耳っているといえども、その責任の所在は分散されているという。