勝てば官軍、負ければ賊軍。スポーツの世界では、そこまでどれだけ努力しようとも、どれだけ試合の内容が良かろうとも、勝利という結果で終わらなければ正しく評価されない。その厳しい世界を生き抜いた勝負師たちの言葉を紹介する。
■勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。
『野村克也 100の言葉』(野村克也著、宝島社、2016年)
・野村克也(プロ野球監督)1935~2020
巨星墜つ。84歳でこの世を去った野村は、セ・リーグの“お荷物”と呼ばれた弱小球団ヤクルトを4度の優勝に導く名伯楽であった。データ重視の「ID野球」を掲げ、緻密な分析による勝利にこだわった。この言葉は肥前国平戸藩主・松浦清が遺した言葉だ。「勝ちは理にかなわないこともあるが、負ける時というのは必ず敗因があって、負けるべくして負けている」という意味で、野村はこれを座右の銘としていた。
一度は戦力外とされた選手を再起させる手腕から「野村再生工場」とも呼ばれ、多くの野球人に愛された。野村は監督の仕事を「見つける・生かす・育てる」ことだと断言した。その足跡はこれからも生き続ける。