「食パンに1000円近く払うなんて!」と思いつつ、試しに買ってみるや、いつもの価格に少し足せば得られる満足感で病みつきに…。そんな人が続出なのか、高級食パンの人気はうなぎのぼり。なぜブームは起きたのだろうか。
◆高級化の予兆は7年前から
「8枚切り? いえいえ、やっぱり6枚でしょ~」と、厚さ中心に選んでいたはずの食パンを、「専門店が誕生」「あの食パン屋さんは行列必至」と、話題のお店の名前で選ぶようになったのは、いつの頃からか…。
「2013年にセブン-イレブンの『金の食パン』が登場すると、焼くのが当たり前だった食パンに生食という新常識が加わり、注目されました。そして、素材や製法にこだわった食パン専門店の誕生が、さらにブームに火を付けたのです」と、パンコーディネーターのひのようこさんは振り返る。
「転換点となった2013年には、大阪で『乃が美』が、東京ではバゲットで有名な『ヴィロン』の食パン専門店として『セントル ザ ベーカリー』が開業しました。それ以降、高級食パンは、甘めの口どけ系、こくのあるもちもち系、バターリッチ系、チョコや抹茶の混ぜ込み系、箱入り系など、いくつかのタイプに分化しています」(ひのさん)
焼かずに生食で食べてもおいしいように、生クリームやはちみつを入れた食パンが開発されると、食事のみならず、おやつや手土産としても用いられるようになる。そんな付加価値を生んだのも画期的な変化だ。
「高級とはいえ、1斤あたり400~500円程度のものが多く、通常の食パン価格に100~200円を足せば買える。そんな“手の届く贅沢”さも人気の理由です」
と、『考えた人すごいわ』など多くの高級食パン専門店をプロデュースする岸本拓也さんは言っていたが、食パンは、いまやちょっとオシャレで体裁のいい贈り物としても喜ばれている。
◆買い方&運び方にもコツあり