中国での新型肺炎のまん延で、日本を含むアジアや米国、欧州など世界の多くの航空会社が中国便を減便または当面キャンセルする対応をとっている。そんななか、アフリカでは経営規模が最大で、最も収益性の高い航空会社といわれるエチオピア航空の方針が波紋を呼んでいる。
同社はアフリカ諸国の政府から寄せられた「アフリカに新型肺炎が入り込む危険性が高いので、中国便の運航を停止してほしい」との要求を拒否し、あくまでも中国へのフライトを続けるとしている。
この理由について、エチオピア航空のテウォルデ・ゲブレマリアム最高経営責任者(CEO)は「エチオピア航空は1973年から中国便を運航しており、中国が一時的に問題を抱えているとはいえ、いま中国への飛行を停止することは道徳的に受け入れられない。わが国は中国の兄弟姉妹の側に立っているのだ」と強調している。
しかし、米紙ニューヨーク・タイムズは「エチオピアはアフリカの中では、中国人移民や中国人労働者の数が最も多い国であり、年間で数十億ドルの経済支援を中国から受けていることが中国便継続の理由だ」と指摘しており、経済的な利益を優先するエチオピア政府の姿勢に批判が集まっている。
エチオピア航空は現在、首都アディスアベバ近郊のボレ国際空港と北京、上海、広州、成都、香港への往復の航空便がほぼ毎日発着しており、1日に約1500人の乗客を中国本土から受け入れている。
しかし、アフリカ諸国の中で中国便の運航を継続しているのはエチオピアだけだ。他の国はエチオピア政府に対して、中国便の飛行中止を望んでいるとされる。