これまでの中学入試といえば、教科別に知識や技能を問われる問題が中心だったが、近年は「思考力」や「表現力」を試される試験が続々と登場している。安田教育研究所の安田理氏が、今年の私立中学入試問題の中から“独特すぎる”問題を紹介する。果たして読者なら、どう考えて解答するだろうか。
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大学入試でも、次期「学習指導要領」でも、従来からの「知識・技能」に加えて、「思考力・判断力・表現力」が重視される方向になっています。そこで、それらに対応するために、中学の授業が講義型からアクティブラーニングに変わり、入試でも「思考力・表現力」といった言葉を使ったものが続々と誕生しています。
◆大学入試の出題内容の変化の方向
ご承知のように、大学入学共通テストに導入予定だった英語の民間資格検定と国語・数学の記述式問題の導入は延期されることになりました。
「それじゃあセンター試験のままではないか」と捉えている方が大勢いらっしゃいます。確かに形式的には変わりません。6教科30科目が出題されることも(うち7科目を選択させる大学が多い)、各教科内の科目の選択方法もセンター試験と同様です。作問を大学入試センターが引き続き行うことも変わりません。
しかし、出題内容は間違いなく変化します。センター試験の問題は「知識」ばかりを問うているような批判がありますが、実際はそんなことはありません。長年にわたり大勢の大学教授が知恵を絞り工夫をしてきました。知識の理解の質を問う問題や、「思考力・表現力」を活用して解く問題も出題されてきました。
これからの共通テストではこれをより「思考力・表現力」重視にしていこうとしています。具体的な出題形式で考えると、授業において学習する場面、社会生活や日常生活の中から課題を発見して解決方法を構想する場面、資料やデータなどを基に考察する場面など、学習プロセスを意識した出題が多くなります。
試行調査の問題からうかがえることは、文章・図・資料などの複数の情報を提示し、必要な情報を読み取る力や、読み取った情報を比較したり組み合わせたりして、課題を解決する力を問う出題が多くなりそうです。
これからは机に座ってテキストを大量にこなしたからといってできる問題ではなくなります。教科書・参考書・問題集にあった事柄をストレートに問う出題は間違いなく減ります。その代わりに初めて出会った問題に対して柔軟に思考できるかをみる問題が増えます。