1961年4月にスタートし、来年で放送60年を迎えるNHK『みんなのうた』。この番組から生まれた名曲は1500曲に及び、ヒット曲が生まれたり、放送中のうたにファンサイトが誕生したりと注目を集め続けている。
◆うたのよさがすべて 肩書では選ばれない
2019年は『パプリカ』のヒットで、さらに注目が集まった『みんなのうた』。放送される楽曲の選定は、制作したアーティストの知名度などに関係なく、“うた”だけで判断しているという。同番組プロデューサーの関山幹人さんは言う。
「知名度は低くても、“このうたは共感を呼ぶに違いない”という人も狙っています。その方が、新しいうたの世界を見つけられると思っているので。
実際に、コブクロさんは『桜』がヒットする1年前の2004年に『永遠にともに』を、森山直太朗さんも2001年に、まだ直太朗と名乗っていたのですが…『高校3年生』を歌ってくださいました。『みんなのうた』から話題になる楽曲が生まれたら、最高ですね」(以下同)
会議を経て、放送するうたが決まると、そこから映像を作り始める。あくまでも、うたそのものが主役で、歌手のミュージックビデオではないというのがポリシーだ。
「放送が始まった当時から、映像をつけることで、もっとうたや音楽のイメージを広げようという意図があり、いまもそれを受け継いでいます。
それに、いまは音を消して、テレビの映像だけを流しているケースも多いので、映像に興味を持っていただき、改めてどんなうたか聴いてもらえたらという狙いもあります」