SNSでの発表で事足りる昨今の芸能界において、なぜ中居正広は記者会見を行なったのか──。2月21日、中居正広が東京・港区のテレビ朝日で会見を行ない、ジャニーズ事務所を退所し、新会社『のんびりな会』を設立すると発表した。独立の話題に留まらず、SMAPメンバーとの不仲説、2016年1月の『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)での謝罪についてなどの厳しい質問にも答え、記者もファンも満足する内容だったと言えるだろう。
芸能事務所から独立する際に記者会見を開くことは異例中の異例である。しかも、ジャニーズ事務所からの独立会見は、おそらく中居が初めてではないか。たとえば、田原俊彦は1994年3月1日に独立したが、2月17日の長女誕生記者会見で退所の話は出ていない。当時は、一般的に芸能事務所からの独立に焦点が当てられる時代ではなかった。記者からも独立に関する質問はなく、世間の興味もそこにはなかった。
そもそも、近年では芸能人が記者会見を行なうこと自体が珍しくなっている。1990年代の中頃までは、結婚や出産、不倫など何かあれば、芸能人は必ずといっていいほど会見を開かなければならなかった。誰が決めたわけでもないのに、そんな空気が充満していたのだ。しかし、徐々にFAXでの発表で済むようになり、今ではブログやツイッター、インスタグラムなどでの発信になった。
そんな時代に、なぜ中居正広は厳しい質問が飛ぶと想定されるにもかかわらず、会見を敢行したのか。根底に、ファンへの想いがあったからに違いない。2018年12月28日、翌年からプロデュース業に専念する滝沢秀明氏が『中居正広のキンスマスペシャル』(TBS系)に出演した時のことを振り返ろう。
番組後半、大竹しのぶが引退する滝沢氏の人生を思い、「ファンのために生きるわけじゃないですからね。自分のために」と言うと、中居は台本と思われる紙をめくる手を止め、咄嗟に「いやでも、ファンの子、大事です」と遮った。続けて、中居はこんな言葉を発した。