2019年10~12月期連結決算で11年ぶりに最終損益が赤字になるなど業績悪化が深刻な日産自動車。「日産の実力はこのレベルではない」と内田誠社長は臨時株主総会で再起を誓ったが、起死回生を図るには一にも二にも魅力的なヒット車を出すしかない。その最有力候補といえるのが、今年モデルチェンジが予定されている新型「NOTE(ノート)」だ。果たして、競争が激化する小型車市場で存在感を示せるのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が展望する。
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日本の自動車マーケットにおいて久々に新商品ラッシュになる見通しの2020年。先陣を切ったのは、2月10日発売のトヨタ「ヴィッツ」あらため「ヤリス」と14日発売のホンダ「フィット」だ。
どちらも欧州ではBセグメントと呼ばれるサブコンパクトクラス。ヤリスは室内の広さについてはある程度割り切って走りの性能に重きを置いたパーソナル色の強いモデル。一方、フィットは室内・荷室の広さを重視したファミリー色の強いモデルと性格が二分されたが、クラスも価格も近いとあって、今後死闘が繰り広げられることは確実であろう。
この2モデルの話題の陰に隠れた感があるが、今年、このサブコンパクトクラスで新型への切り替わりが予定されているモデルで忘れてはならないものがもう1台ある。夏から秋にかけて登場するとみられる日産「ノート」だ。2018年には軽自動車を除く乗用車販売台数で1位、2019年はトヨタのハイブリッドカー「プリウス」に負けたものの2位という量販モデルである。
折しも日産は“ゴーンショック”を機に経営の混乱が表面化し、経営危機の真っただ中。新車販売戦線でもブランドの存在感は急速に弱まっている。その逆風に耐えて反転攻勢に出るうえで、ノートは絶対に空振りの許されないモデルだ。が、果たして先行するヤリス、フィットの両雄対決に割って入ることができるのだろうか。