病院によって、検査の質とともに変わってくるのが「費用」だ。その仕組みを正しく知ることで、必要以上の出費を抑えることができる。まずは、親が胃がんを患ったという“がん家系”のAさんのケース(別掲図参照)。
医療ガバナンス研究所所長の上昌広医師は、「男性の罹患者数1位の胃がんを調べるために胃カメラを、罹患者数2位で死亡者数1位の肺がんを調べるために、低線量CTを受けたほうがいい」と指摘する。
「家族歴についてよく誤解されるのですが、『親が胃がんを患ったから自分も胃がんになりやすい』のではなく、実際は全てのがんリスクが上昇します。そのため、罹患者数・死亡者数がともに多い胃がんと肺がんは調べておくべきでしょう。
胃カメラはピロリ菌検査で陽性だった場合には1~2年に1度、陰性だった場合でも5年に1回は受けたほうがいい。胃をみる途中でカメラが食道を通過するので、食道がんを調べることができるというメリットもあります。低線量CTは3年に1回程度は受けたほうが良いでしょう」
罹患率3位の大腸がんを調べるために大腸カメラも受けるのが望ましいが、「胃がんや肺がんに比べて進行が遅いので、一度やってみてポリープがあれば経過観察として5年に1度程度で良い」(上医師)という。
別掲図の通り、これら3つの検査を個別に受けると約6万円になる。一方で都内大学病院の人間ドックではCTを含んだ基本メニューが約10万円なのに加えて、オプションの胃カメラが約1万5000円、大腸カメラが約3万円かかるため合計で14万円以上となる。
脳卒中のなかでも、特に「くも膜下出血」は家族歴が大きく影響してくるといわれている。“脳卒中家系”のBさんはどうなのか。