新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、3月8日に初日を迎える大相撲春場所の開催を巡って、相撲協会が難しい判断を迫られている。親方や力士ら関係者はすでに大阪入りしているが、「無観客での開催や中止も視野に、検討を重ねている」(協会関係者)という状況だ。
3月1日開催の東京マラソンへの一般ランナーの参加が中止となり、ゴルフの国内女子ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」(3月5~8日、沖縄・琉球GC)も無観客で行なわれることが決まっている。2月21日に開幕したJリーグも3月15日まで公式戦の開催を延期することが決まるなどするなか、相撲協会は2月21日の時点で公式HPに〈予定通り開催に向けて準備を進めております〉と掲げ、開催を前提として来場者に〈うがい、手洗い〉〈咳エチケット〉などの徹底を呼びかけてきた。
「本場所が開催されないことになれば、八百長問題が発覚して中止に追い込まれた2011年の春場所以来のことになる。八百長を思い起こさせるということで、反対の声をあげる関係者が少なくなかった。
すでに2月25日に予定されていた赤ちゃん抱っこ撮影会のイベントは中止になったが、協会としても本場所15日間のチケットはすでに完売し、開催の可否はNHKからの放映権収入5億円も関係するだけに、簡単には中止にはできない事情がある」(相撲担当記者)
もともと、親方と多くの弟子たちが一つ屋根の下で共同生活をする相撲部屋では、感染症が重大な“懸案事項”と考えられてきた。
「稽古は裸にまわしだけの姿でぶつかり合うし、若い衆は大部屋で共に寝起きして、食事も鍋を一緒につつく。一人でもインフルエンザや風疹などが出たら、個室に隔離はするものの、部屋中がパニックとなって稽古どころではなくなる」(若手親方)