CTなどの検査で「がん」が発見されると、医師から「すぐ切ったほうがいいでしょう」と提案されることは多い。だが、必ずしも「切る」だけが正解とは限らない。
例えば、がん検診のオプションとなる腫瘍マーカーは、採取した血液内に含まれるがん細胞由来のたんぱく質を検知する「血液検査」の一種だ。そのうち、前立腺から分泌されるたんぱく質を検知して、前立腺がんを見つけるのがPSA検査である。
医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。
「本来は陰性なのに陽性となる偽陽性がかなりの頻度であります。がん以外に前立腺肥大や前立腺炎で数値が上がることもある。陽性になったら確定診断のための精密検査を受けていくことになります」
検査の結果、医師から「前立腺がんが見つかった」と手術を勧められても、焦る必要はない。
がんは「早期発見、早期治療」が第一とされるが、前立腺がんは少々事情が異なる。
「60歳以上の患者が9割以上とされる前立腺がんの特徴は、他のがんよりも進行が遅いこと。2014年の国立がん研究センターの調査では、男性の11人に1人が罹患し、死亡するのは75人に1人ほどでした」(室井氏)