1970年1月、四次元ポケットから夢と希望に満ちた“ひみつの道具”を取り出すネコ型ロボット・ドラえもんが誕生した。50周年を記念して、作家の瀬名秀明氏に、22世紀に伝えたいドラえもんの場面を聞いたところ、『大長編ドラえもん5 のび太の魔界大冒険』の一場面が選ばれた。
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藤子先生も影響を受けたと思われるイギリスのSF作家アーサー・C・クラークの有名な言葉に、「十分に発達した科学は魔法と区別が付かない」があります。ドラえもんが出す道具は「十分に発達した科学」であり、魔法と見分けがつかないような不思議なことをやってくれます。
物語のラストシーンはそれを象徴する名場面です。前半、魔法の世界なのに魔法を使えないのび太が、初めて魔法の呪文で動かせたのがしずかちゃんのスカートでした。これがラストシーンの伏線となります。
元の現実世界に戻って魔法は使えないはずなのに、魔法の呪文を唱えたらしずかちゃんのスカートがフワッと動く。「風だよね、きっと」と、のび太。答えは誰にもわからない。
科学と魔法。一瞬混ざり合い、少し不思議なことが起こるドラえもんの世界観を22世紀も受け継いでいってほしいです。