安倍晋三首相の言葉に、「誇張」や「フェイク」、「大風呂敷」が交じっていることに国民は気づき始めている。新型コロナウイルスの問題では、「WHO(世界保健機関)も(日本の対応を)評価している」(2月21日)と発言したが、WHOの進藤奈邦子シニアアドバイザーは2月14日の段階で「中国は光が見えた。今、世界中が心配しているのは日本」と警鐘を鳴らしていた。
こうした傾向は振り返れば今に始まったことではない。政権復帰からの7年間、首相とその周辺は、嘘に嘘の上塗りを重ねてきたのではないか。そして今、塗り固められたはずの“嘘の壁”が崩れ落ちようとしている。
桜を見る会問題も、首相の嘘が発端だった。
「私は招待者の取りまとめには関与していない」(2019年11月)
安倍首相は後援会関係者が大量に招待されていることを追及されると、国会でそうシラを切ったが、安倍事務所が後援会関係者に参加を呼びかけていた文書が発覚して関与を認めざるを得なくなった。
ここでも役所は水面下で“証拠隠滅”に走っていた。野党議員が招待者名簿の提出を要求したその日に、内閣府は名簿の原本をシュレッダーにかけ、電子データも後に消去したと説明。招待者に反社会的勢力がいた疑惑も、マルチ商法で多数の被害者を出した「ジャパンライフ」元会長をだれが招待したかも、記録ごと消去されてしまった。
しかし、疑惑は消えなかった。問題は安倍首相自身の政治資金問題に発展していく。桜を見る会の前夜、安倍後援会主催で開かれた恒例の「前夜祭パーティ」の収支が政治資金収支報告書に一切記載されていない問題だ。