ニッポン男子史上、最年少の五輪選手が誕生するかもしれない。中学1年生にして今夏の夢舞台を目指す、男子高飛び込みの玉井陸斗(JSS宝塚)だ。シリーズ「東京五輪へ――私が見たアスリートの素顔」では、小学5年生の頃から玉井を指導し、その才能を見出した馬淵崇英コーチに話を聞いた。馬淵コーチは、五輪出場はもちろんのこと、「メダルまで狙える」と力を込める。その“根拠”とは。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。
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引き締まった肉体はまさしく“美”だ。10mの高さから入水まで、わずか1秒ちょっとのパフォーマンスは誰が見ても圧巻だ。
しかしながら、陸に立てばアスリートというより、やはりあどけない13歳(中学1年生)の少年である。
男子高飛び込みの玉井陸斗は、昨年9月の日本選手権を史上最年少で優勝し、今年2月9日の国際大会派遣選手選考会でも派遣選考基準を突破して1位となり、東京五輪への出場権をほぼ手中にした。13歳10ヶ月での出場となれば、日本男子史上最年少のオリンピアンとなる。
「飛び込みに必要な才能のすべてを持ち合わせている選手。落ち着きと、集中力が普通ではない。あれもこれもそろっているから、こんなこと(13歳で五輪出場)になるわけです」
そう話して笑ったのは、玉井を指導する馬淵崇英だ。中国出身(1998年に帰化)のナショナルチーム・ヘッドコーチで、今夏の東京で6回目の五輪出場となる寺内健を指導してきた名伯楽である。
3歳でJSS宝塚に通い始め、小学1年生から飛び込みに挑戦した玉井は、小学5年生の時から馬淵に師事するようになった。