放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、大河ドラマから歌舞伎役者へと活躍が続く中村勘九郎についてお送りする。
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「いよっ中村屋!」思わず声を掛けたくなる中村勘九郎である。
御存じの通り『いだてん』で1年間まさに走り抜けた。大河ドラマ、今年は『麒麟がくる』が話題であるが、あれこれ衝撃を与えた『いだてん』が暴れたからこその沢尻問題である。
皆さんあまりちゃんと見てなかった様だが、宮藤官九郎と中村勘九郎、Wカンクローのガンバリで(少しは阿部サダヲも力を出していた)とても上質ないいドラマになっていた。
私は父の勘三郎と親しくさせてもらい、よく談志がらみで一緒に呑んだりした。傑作で豪快でサッパリした江戸のいい男だった。だから余計若旦那の事が気になる(まるで法事に来たおせっかいな遠い遠い親せきのおじさんのようである)。
ドラマも終わってひと段落、また歌舞伎役者に戻っているというので久しぶりに会った。顔もスッキリしてアスリートのよう。「これでも舞台用の身体にもどったんですよ。舞台は大きくなくてはいけませんから」とまだ金栗四三の面影を残してさわやかに言う。