東京・両国にある蕎麦の名店「江戸蕎麦 ほそ川」。挽きたて、打ちたて、茹でたての「三たて」が信条だという、朝7時半に始まる主人の細川貴志さん(71)の一日に密着した。
まず、とりかかるのは出汁の準備だ。師と仰ぐ「翁」の高橋邦弘名人に倣って開店当初から鉢巻き姿を貫く。
「鴨南ばんそば」に使う仏シャラン産鴨は中まで火を入れない。「霜降り状態に汁をかけると旨いんだよ」(細川さん、以下同)。
利尻昆布、大分産どんこを煮たあと、大量の鰹節を投入。最後に濾して出汁をとる。「かけ汁は飲んでもらえるようにつくっている」
自家製粉した蕎麦粉は細かく、手で握るだけでギュっと固まる。