工場や駅跡地などの大規模再開発により、駅近に様々な大企業のオフィスが隣接する地域がある。名だたる大企業がいくつも並ぶそれらのオフィス街も、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつある。大勢の人が毎日、満員電車にのって通勤し、同じ高層ビルに何百人もの人が集まるのだから、感染と無関係ではいられないだろう。そのために、普段なら笑って受け流すような情報にも、一喜一憂する始末だ。
──うちでも感染者が出たらしい。
東京・汐留の日本テレビ社内に激震が走ったのは先々週金曜日の夕方だった。日テレ報道局関係者・A氏の話。
「きっかけは東京スポーツに“日テレ新型コロナ3人感染疑い”という記事が出たことでした。しかも、私がいる報道局内で……。その少し前には、すぐ隣の共同通信社の複数の記者が、新型コロナウイルス感染の疑いのあるドライバーが運転するハイヤーに乗っていたと騒ぎになっていましたから」(A氏)
中国から帰国した記者が一人、番組スタッフが二人など、記事は妙に詳細であり、話はあっという間に広まったという。さらに数日前には、東スポが書いていたように実際に社員食堂もコロナ対策で閉鎖されていたから、関係者は「ついに出た」と不安に駆られた。ふだんなら、東スポの記事なのだからと話半分で受け取るのに、世間の雰囲気に流されて疑心暗鬼になったため、笑い飛ばす余裕が出てこない。重苦しい空気の中、事実確認がすすめられると……。
「中国から帰国したという記者ですが、会社が念のために会社近くのホテルに泊まるよう促していたという事実がすぐに発覚。その日のうちに報道局長から“事実ではない”という通達も出ました。針小棒大に書かれたのだと、ホッとしました」(A氏)
ともあれである。テレビ局スタッフといえば、とにかく人と接する機会が多く、中国をはじめとした海外で仕事をしている記者も大勢いる。当然「すでに誰がかかっていてもおかしくない」(A氏)と、半ば諦めムードであることもまた事実なようだ。
一方、先週には日テレと同じ汐留に本社を置く日本最大の広告代理店「電通」で、コロナウイルス感染者が確認された。