よし子:私、“同担(推しが同じこと)”、無理なんです。ライブの当落を聞かれたり、私よりいい席が当たったことをマウントされるのが本当に嫌で…。
香山:あら、それはホストの手口と同じだわ! ホストクラブって、最初はたいてい好奇心で友達と一緒に行くでしょ? でも帰り際に、「今度はひとりで来てねって」ってホストが耳元でささやくんですって。自分にハマってもらうには、ひとりで来させることが鍵となるそうで、こういう場合、ひとりっていうのは本当に危ないんです。
友達と一緒だと「今日のライブはいまひとつだったね」なんて話で現実に戻りやすいけれど、ひとりだと「彼は今頃こうしてこうして…」なんて延々と妄想を続けてしまい、どんどん深みに…。
◆女性としての価値にまで疑問をもつように
香山:10代、20代ならリア充の機会もあるでしょう。でも、40代、50代の女性はそうもいかない。“推し”に恋愛や結婚が発覚することで、「そうだ、私おばさんだったんだ!」と、自分の年齢や容姿を客観的に思い知らされてしまう。そして、自分には女性としての価値がないんじゃないかと二重三重に傷ついてしまうんです。
よし子:(絶句)せ、せんせい…図星です。私、どうやって立ち直ったらいいでしょうか…?
香山:体に対する自信のなさがメンタルの自信なさにつながっているので、ミドル世代以降の患者さんには、散歩やジョギングなどの軽い運動で体を動かすことをすすめています。
パーソナルトレーニングが流行っていますが、トレーナーは一緒に頑張ってくれるし、常に励ましてくれます。誰かに自分をケアしてもらうのもおすすめです。これまでは嵐のグッズに使っていたお金でネイルに行くのも、すごくいいですよ。
※女性セブン2020年3月19日号