スニーカーブームが続いているが、ナイキやアディダスといったスポーツブランドだけが人気を博しているわけではない。無印良品やジーユー(GU)、ワークマンといったカジュアル衣料品チェーンが発売する低価格スニーカーも機能性を高め、「1日中履いても疲れない」などと好評だ。ファッションジャーナリストの南充浩氏が、各社イチ押しスニーカーの特徴をレポートする。
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5年ほど前、ファッション業界では「スニーカーブーム再燃」と言われていました。ナイキ、アディダス、ニューバランス、リーボック、コンバースなどのスニーカーが「ファッションアイテム」として驚くほど売れに売れたからです。
しかし、個人的には「ブーム」という言葉に対してはちょっと違和感がありました。なぜなら、スニーカーをデイリーカジュアルに合わせるというのは、それまでにも存在したカジュアルコーディネートの定番の一つだったからです。ファッション的には取り立てて目新しさは感じられませんでした。
ブームではなく「定着」だと考えます。理由はファッション好きの若者だけでなく、中高年や高齢者までもがスニーカーをデイリーユースに着用するようになったからです。
実際、街中を歩く人たちの服装を観察していると、ナイキやアディダス、プーマ、アシックスなどに代表されるスポーツブランドのスニーカーを着用したシニア層がすごく増えているように感じます。
ジョギング人気やファッショントレンドでのアスレジャーの浸透などから、いつの間にかスポーツブランドを老若男女問わずカジュアルファッションとして着用するようになりました。20~30年前と比べたら大きな変化だと感じられます。
昔はどんな商品にしても専門メーカーが圧倒的に優れていました。ファッション業界でいえば、洋服よりも靴のほうが専門性が高いアイテム。洋服の場合はサイズがピッタリでなくても着用できますが、靴は5mm小さいだけでも足を入れることさえできません。また大きすぎても小さすぎても歩きづらく、足を痛めることになりますから、洋服よりも製造には高いノウハウが必要となります。
ですから、かつては専門メーカーの商品とそうでないメーカーの商品には雲泥の差がありました。著名ブランドのスニーカーと低価格のスニーカーは比べ物にならないほどデザインや機能性に差があったのです。
しかし、いまや着心地のよい低価格のカジュアル衣料品がたくさんあるのと同様に、靴やスニーカーもデザイン性・機能性ともに大きく向上した低価格のコモディティ品が数多く登場しています。