ビジネス

明治日本の産業革命支えた鉱山鉄道、なんとか後世に残せないか

閉山直前の三池炭鉱の引込線に入った石炭運搬用列車(時事通信フォト)

閉山直前の三池炭鉱の引込線に入った石炭運搬用列車(時事通信フォト)

 そもそも鉄道が誕生したのは、鉱山から採掘物を運ぶためだったとも言われている。日本でもかつては多くの炭鉱や鉱山のために鉄道が敷かれたが、エネルギーの主役が石炭から石油へと移るに従い、それらの鉄道の多くは廃止された。廃止を免れた鉄道のうち、1997年の三池炭鉱閉山後も三井化学専用線として存続していた路線の廃止について、ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 幕末から明治にかけて、日本は急速に近代化した。その背景には、鎖国を解き、海外からもたらされる新しい技術を積極的に吸収したことがあげられる。

 海外から得た技術は、日本を革命的に発展させた。そうした功績が評価され、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は世界遺産に登録された。

 世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の中には、いまだ操業中の遺産もある。それだけに、文化財保護と企業の営利活動の両立という観点から悩ましい問題も発生していた。

 世界遺産として認定を受けながらも、現役の施設として一部が稼働していたのが福岡県・熊本県にまたがる三池港および三池鉄道だ。

 三井財閥が躍進する原動力になった三池炭鉱は、大牟田市・荒尾市に点在する各炭坑を鉄道で結び、さらに鉄道は三池港へとつながっていた。この鉄道が迅速な運炭を可能にした。こうした港湾と鉄道がセットで整備されたことが、三池の活性化につながる。

 三池鉄道は石炭を港まで運炭するための貨物鉄道としての役割が強かったが、炭坑夫たちの通勤列車としても運行されていた。また、炭鉱には鉱夫の家族たちが住む社宅も整備され、社宅に住む家族が日々の生活用品を買いに街へと出かけるために買い出し列車が短い期間ながら運行していた。

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
小さい頃から長嶋茂雄さんの大ファンだったという平松政次氏
《追悼・長嶋茂雄さん》巨人キラーと呼ばれた平松政次氏「僕を本当のプロにしてくれたのは、ミスターの容赦ない一発でした」
週刊ポスト