横浜沖で約700人の新型コロナウイルス感染者が明らかになったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の姉妹船「グランド・プリンセス」でも21人の感染者が明らかになった。サンフランシスコ沖に停泊していたが、近くのオークランドに入港し、アメリカ人の乗客はカリフォルニア、テキサス、ジョージアの米軍関連基地で隔離されるという。
海外メディアはダイヤモンド・プリンセスの際の日本の対応を「浮かぶ監獄」「『こうしてはいけない』と教科書に載る見本」「基本的人権の侵害」などと報じていたが、今回はどうか。
日本時間9日午前段階では状況の劇的な変化が見られないこともあり、ワシントン・ポストは比較的冷静な報道をしている。上記「基本的人権の侵害」は同紙の報道だが、彼らはグランド・プリンセスについてどう報じているか。
アメリカ国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウキ氏の意見として、イタリアのように地域閉鎖の「可能性はある」と言及。そして、同氏のこんなコメントを紹介した。
「過度に警告したくはないが、今の拡散状況を見るにつけ、何が起こってもおかしくない。だからこそ、我々は感染拡大を封じ込め、軽減するためのあらゆる行動をしなくてはならない」
そのうえで、グランド・プリンセスの乗客の話として、船長が6日夜に船が近々入港するとアナウンスしたことを祝ったという話も紹介。その乗客によると前向きな気持ちを維持できているそうで、エクササイズのビデオを見たり、クルーズ船を舞台にしたコメディドラマ『ラブ・ボート』の再放送を観たりしたという。
この乗客は「私達はユーモアの感覚をまだ持ち続け、いかなる状況でも笑い続けています」「私達の部屋はバルコニーがあって新鮮な空気を吸えるからラッキーだった」とも語った。
そのうえで、同紙は「基本的人権の侵害」と評したダイヤモンド・プリンセスについても言及。約700人の感染者を出したことを挙げ、「専門家は“浮かぶ培養工場”となった容器であり、公衆衛生上の失敗」と相変わらず手厳しい。
そして米国公衆衛生局長官のジェローム・アダムス氏が語った対策も紹介している。それは大勢が集まる場所への参加は避けるべきであり、ケアハウスで17人が亡くなったシアトルのように学校を閉鎖し、より多くの従業員を自宅で働かせるべき、ということだ。
◆海外メディアへの恨み節
この2点については日本と同じような対策だといえよう。こうした状況について、日本のネットユーザーはアメリカの対策を注視しているという。この2か月ほど新型コロナウイルス関連のネットの声を見続けてきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、「海外メディアに対して一泡吹かせてやりたいという空気を感じる」と語る。