「週刊ポストの取材なら、僕よりもすずのほうがよかったんじゃない?」──出演映画の舞台挨拶を控えたこの日、リリー・フランキー(56)は本誌カメラの前へ立つと開口一番、照れくさそうな表情で主演を務める広瀬すずの名を挙げた。劇中で広瀬が見せる人差し指を立てるポーズにも快く応じたが、気恥ずかしさもあるのか、どこか落ち着かない様子だ。
「普段はなんにもポーズしないですね。写真を撮られていることを意識している自分がいや、みたいなものがあって。映画では役のお芝居をしているのでなんでもないんですが、今回は自分の名前で取材を受けているので。こうした機会でも僕は雑誌側の人間というか、物を書いたり、イラストを描いたりしている人の感覚が今も強いんです。イラストレーターや作家なのに、“写真はこっちからお願いします”なんて言うのはちょっとどうよ、とも思いますし」
3月20日公開の『一度死んでみた』では、反抗期をこじらせ父親を嫌う女子大生の七瀬に扮した広瀬がコメディに初挑戦。父・計(堤真一)が経営する製薬会社の就職面接では人差し指を突き立てる“デスポーズ”をかまし、ボーカルを務めるデスメタルバンドではシャウトにヘッドバンギングと弾けている。
「監督は堤さんと出ていた『ヒノノニトン』のCMディレクターで、初めての監督作品をコメディですずを主役にして撮ると聞いて、お祝いに飲んだ時に“すずをスベらせたら許さないぞ”って。彼女とは是枝(裕和)さんの『海街diary』以来、親子役など何度も共演していますが、当時はまだ15歳でした。お姉ちゃん(広瀬アリス)の父役もやっていて、気持ちとしてはもう親も同然じゃないですか。何かあれば気になりますし、目の中に入れてかわいがっている感覚です」