ネットでは多くの新型コロナウイルスの不確実な情報が拡散されている。不安が広がるとデマが飛び交い、感染に怯えて嘘を信じ込んだ人々が善意で嘘を拡散させていく。新型ウイルス以上に怖いのは、そうして強力な伝染力を持ったデマが広がって社会を混乱に陥れ、ウイルスへの対抗力を失った国民の生命が危険にさらされることなのだ。
もちろん、国民は正しい情報を知りたい。それを妨げてきたのが政府とWHOの「安全デマ」だ。
かつて福島第一原発事故の際、時の菅直人内閣は事故の深刻さを隠して「ただちに健康に影響はありません」と繰り返し、かえって国民に不安とパニックを呼び起こした。
新型コロナの発生以来、安倍政権はあのときの菅内閣と同じ態度をとった。政府が新型ウイルスを「指定感染症」に閣議決定した今年1月28日、厚労省はこう説明していた。
「新型肺炎は国内では人から人への持続的感染は認められない」
そのわずか2日後に政府が、武漢からの中国人ツアー客を乗せた日本人のバス運転手とガイドへの感染などから「人から人への感染」と認定し、国民は嘘だったと知る。それでも安倍首相は国会でこんな楽観的な見通しを振りまいた。
「我が国では現在、流行が認められている状況ではない。一人ひとりが『せきエチケット』や手洗いなどを励行し、予防に努めてもらうことが重要だ」