これらの提案は政府の方々から見ると、稚拙で実行不可能なものと映るでしょう。門外漢が乏しい情報の中で書いているのですから当然です。しかし、“他山の石”にはできるでしょう。
危機管理の手法で一番やってはいけないことは、「一縷の望みに賭ける」ことです。なぜなら、手遅れになって打つ手がなくなるからです。そこで、「戦略を立てた上で戦術を立案する」という姿勢や、「100%を狙わない」とか「最大限の流用をしていく」という考え方が必要になってきます。
そんな視点をもって、この国難を克服してもらいたいものです。中国から1か月遅れて来た危機は、突発的に発生した原発事故よりも、決して難しくないのですから。
●たなか・ゆうすけ/1987年東京生まれ。明治大学法学部卒業後、セイコーウオッチ株式会社に入社し、お客様相談室や広報部にて勤務。2014年に株式会社リスク・ヘッジに転職し、代表取締役社長に就任。現在、岐阜女子大学特任准教授も務める。著書に『スキャンダル除染請負人』(プレジデント社)、『地雷を踏むな』(新潮新書)がある。