新型コロナウイルスの感染拡大による政府の対応策は、後手後手で場当たり的なものばかり。日本経済に与える影響や国民生活の混乱は一層深刻さを増している。そこで、危機管理コンサルタントでリスク・ヘッジ社長の田中優介氏が、「いま決断すべき4つの施策」をズバリ提案する。
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いま、安倍政権はコロナ対策で『後手』という批判に晒され、それを躍起になって否定しようとしています。野党やマスコミの質問に、「これまでの対応は適切だった」と回答し、「これからも先手先手の対策を打っていく」と力説しました。
しかしこうした言葉よりも大切なことは、未来を見据えて具体的な施策を打ち出すことでしょう。
多くの優良企業はいま、『社員および顧客の感染防止』と『極端な業績悪化の回避』の両立を考えています。前者が7割で後者が3割くらいの比重でしょうか。前者が崩れると、後者も崩れてしまうために、大きな戦略として『上期の業績に固執せずに下期の業績で取り戻す』を前提に動き始めています。
そのための戦術として、夏以降の施策と、夏までの当面の“凌ぎ策”を模索しています。凌ぎ策の中心は、徹底的な無駄の排除と、自社の資産やインフラの流用の推進です。こうした民間企業の方策は政府にも参考になると思われます。
企業の危機管理を専門とする当社が、国家の危機管理を語るのは、決してふさわしい事とは思いません。しかし、生き残りを目指すための戦略と戦術には、多くの共通点があります。この緊急事態を乗り越えるために、4つの具体的な施策を提案します。
第一は【東京オリンピック・パラリンピックの延期をIOCに打診する期限と条件の明示】、第二が【カレンダーの変更】、第三は【軽症患者の受け入れ施設の確保】、そして第四に【社会インフラの転用】です。