健康診断の際に使われる画像診断のCTとは「コンピュータ断層撮影装置」のことで、患者の周囲をX線源と検出器が回転し、人体を透過してきたX線を検出器が感知。そのデータを収集し、コンピュータで断層画像として写し出す。
一方、MRIは強力な磁気によって人体各部の断層画像を撮る「磁気共鳴画像診断装置」のこと。いずれも人間ドックや精密検査などで使用されることが多い。画像診断専門クリニックである霞クリニックの島村泰輝医師が言う。
「CTとMRIでは求められる能力が違っています。CTは広範囲の検査を短時間で行なって、小さな病変も写し出す。
MRIは病変と正常組織の違いがわかりやすく写るのが特長です。CTのように造影剤を用いなくても血管を写せるメリットがあり、脳動脈瘤などの経過観察にもよく使われます。ただし、MRI検査は時間がかかります。服を着替え、時計やペースメーカーなど体の内外に金属がないかを確認し、横になった状態でそこからさらに30分くらいかけて撮ります」
◆高スペックだと画像は鮮明
歴史はCTのほうが古く、1968年にイギリス人によって開発され、日本には1975年頃に導入された。1978年には保険適用されている。
「検出器は『列』で数えますが、最初は1列しかなく、1度の稼働で1枚の画像しか撮れませんでした。検出器が増えれば一度に撮れる範囲が増えるので、1990年代には4列CTが開発され、2000年代に入ると16列、32列、128列、256列と列数が伸び、今は320列まできています。
これはつまり、1度CTを稼働させるだけで、320枚もの人体の輪切り写真を撮影できることを意味します」