東京・青山「匠 進吾(たくみ・しんご)」の主人、高橋進吾さん(41)は16歳で四ッ谷の名店「すし匠」の中澤圭二親方(現在はハワイの「すし匠ワイキキ」親方)のもとで10年以上にわたって学び、その後、全国の様々な場所で修行、18年を経て独立した。仕込みの力で鮨を握る「匠 進吾」の一日を追った。
豊洲市場のマグロ専門仲卸の大手「やま幸」の山口幸隆社長から説明を受けながらブロックで買う。この日は千葉県勝浦産の天然生本マグロ。全国の漁港と提携し、独自の仕入れルートを持つ「旭水産」で勧められた子持ちヤリイカの感触を確かめつつ入手した。
市場から店へ戻ると「やま幸」で仕入れた本マグロのブロックを赤身、中トロ、大トロと分けながら柵どりしていく。87キロの小ぶりのマグロだが、「この時期はこれぐらいのが旨い」(高橋さん。以下同)。身質に応じて1~2週間熟成させることもある。
開店前は5人の弟子たちとともに仕込みに追われる。小鰭には20分塩をあてたのち酢をくぐらす。酢飯はササニシキとひとめぼれの古米のブレンド。赤酢と白酢の2種を用意し、ネタに応じて使い分ける。
上から兵庫県明石の真鯛、千葉県勝浦のマグロの赤身、鹿児島出水の鰺。「それぞれ季節によって産地は変えていきます」
酢で締めた鯖の間に刻んだネギ、ガリ、ゴマをあしらったつまみ。「鯖鮨の上の部分だけを食べているイメージですね」。