これらの理由により、ホームとネスをテストドライブした後、試乗会場に展示されていたベーシックを見て、これが155万円で買えるなら上等すぎて涙が出ると感銘を覚えたほどだ。ガソリン版ホームとの価格差は約16万円。この差は決して小さくない。
十分な基本性能、基本装備と最低限の快適装備。あとはせいぜいスマホナビをミラーリングできるディスプレイオーディオや後席スピーカーをカー用品店で買えば十分か。そんなヨーロッパばりのミニマルなカーライフを想起させるフィットのベーシックは、積極的に選びたくなるクルマだった。
もちろんホンダとしてはなるべく高いグレードを買ってもらったほうが儲かる。実際、ディーラーの試乗車はホーム以上が主流になるし、レンタカー、カーシェアでも一つ高いホームを中心に据えようと考えているという。
ゆえに、一般ユーザーがベーシックを目にする機会はそれほど多くないかもしれないが、クルマのハードウェアにかけるお金を抑制し、そのぶん自分の行動にお金を使うというミニマリスト志向の強い人には、一度ベーシックを見てほしいと思った次第だった。