中国での新型コロナウイルスの震源地とされる湖北省武漢市で、食料品などの生活物資の入手が困難になった多数の住民の怒りが爆発。現地視察した孫春蘭副首相(中国共産党政治局員)に対して、集合住宅のベランダ越しに不満の声を直接ぶつける様子がネット上で拡散し、市最高幹部はメンツをつぶされた。
その5日後の3月10日、最高指導者である習近平国家主席が武漢市内の住宅街を視察した際には、副首相の視察の二の舞いにならないようにと、多数の警官が高層住宅のベランダに立って住民を監視するというものものしい警戒ぶりとなった。こうした対応について、ネット上では「武漢市民は最大の犠牲者なのに、やることが小役人すぎる」などと強い批判を受けている。
武漢市で肺炎対策の現場指揮を執る孫氏が5日に市内の集合住宅を視察した際、事前に地元の市政府関係者が食料品を各戸に運び、敷地内のごみをきれいに掃除するなどした。そして、孫氏に「住民には食料を毎日配達しており、マスクなどの日常用品も十分足りています」などと述べて、さも地元政府がきめ細かい配慮をしているかのように説明した。
ところが、そのとたん階上から「嘘だ。全部嘘」や「役人のパフォーマンスだ」「食料も日常用品も不足して困っている」などの大きな声が聞こえてきたという。
物資の供給が満足に行われてないにもかかわらず、順調であるかのように装って孫氏の視察が行われたことに住民の怒りが爆発した形だ。