私は以前、番組収録取材もした。文枝の司会のよさは、どんなにダメっぽい夫、妻が出てきても、悪人にしないことだとよくわかった。金銭感覚がない、片付けができないなど不満をぶちまける夫(妻)がいても、横でにこにこしている相手がいれば、「こういう人だから、この人とうまくいくんやろなあ」という流れを作ってふわっとおさめる。歴代アシスタントで一番長くコンビを組む山瀬まみも、「そうだね」と文枝の作った「許しモード」を何気なく引き受けていく。番組名物の文枝の「椅子コケ」シーンはじめ、爆笑トークが目立つが、よく見るとトークの引っ込め方、ソフトな着地こそ、絶妙なトーク技なのだとわかる。
国際結婚、年の差カップル、同性の新婚さんなど夫婦のスタイルも多様に変化してきたが、この番組の出場資格は「結婚三年以内」のみで「いろんな新婚さんいらっしゃい!」と間口の広さは一貫している。とはいえ、番組に「出場」(出演ではなく、出場というのもなかなか)するまでには、予選を勝ち抜く必要があり、かなりの激戦らしい。50周年を記念して、番組では1970年代1980年代に出場したカップル専用の「もう一度、新婚さんいらっしゃい!」や結婚式や新居などであっと驚かせたい人を応援する「新婚夫婦のサプライズ依頼」を募集している。半世紀を経て、まだまだ何かが起きる予感。おそるべき番組といえる。