史上初の無観客開催になった大相撲春場所では、厳戒態勢が敷かれているために、さまざまな弊害が起こっている。
通常、支度部屋には記者が自由に出入りする。十両の取組が始まる頃には東西の支度部屋で記者が何人も待機するが、今場所は立ち入り禁止だ。
「メディアが支度部屋に入ると“監視役”の役割も果たす。2011年に発覚した八百長では、支度部屋が舞台のひとつとなった。東西の支度部屋を行き来する幕下力士が仲介役となり、携帯メールで星がやり取りされた。それ以降、支度部屋は携帯持ち込み禁止だが、今場所は緊急連絡用に許可されている。
急な体調不良への対応のためかもしれないが、それなら(無気力相撲をチェックする)監察委員の親方衆を観客席だけでなく、支度部屋に配す策などが必要ではないか」(ベテラン記者)
様々なところで“監視の目”がなくなるなか、大関昇進がかかるのが関脇・朝乃山だ。今場所は貴景勝が一人大関のため、西の横綱・鶴竜が番付表で「横綱大関」となる異常事態が生じ、新大関誕生が熱望されている。
「昨年11月の九州場所が11勝、初場所が10勝なので、『3場所33勝』の昇進ラインまでは、本来12勝が必要。ところが、土俵以外に注目が集まるなか、“10勝でも昇進”という声が出てきた。実際、初目に向正面の解説だった舞の海が“10勝ライン”に言及した」(若手親方)