結果、安倍政権下ではロシアとの北方領土問題や北朝鮮の拉致問題など外交的には全く成果がなく、経済的にはスローガンを連発するだけで景気は悪化する一方。憲法改正も実現できず、大々的にぶち上げた政策のほとんどは雲散霧消した。そんな“蜃気楼”のような安倍政権を「歴代最長」まで延命させてしまった。
しかし、今は新型コロナウイルス禍という“国難”で日本政治の貧困と不毛がまさに国家を危機に陥れている。“モリカケ桜”で綻び、コロナで完全に国を誤った方向に導いている安倍政権の暴走を、与党も野党も止めることができない。令和の世に新しいリーダーが降臨することを願わずにはいられない。
●おおまえ・けんいち/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は小学館新書『経済を読む力「2020年代」を生き抜く新常識』。ほかに『日本の論点』シリーズ等、著書多数。
※週刊ポスト2020年4月3日号