成人式に集まるのは二十歳の人たちだが、日本は2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられる。未成年飲酒が発覚したため処分すると発表した皇宮警察の報道から、お酒は二十歳になってから、が抱える矛盾について、評論家の呉智英氏が考えた。
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三月十日付朝日新聞に皇宮警察の不祥事を報じる記事が出ていた。「皇宮警察学校の学校長と未成年の学生らが懇親会などで飲酒をしていたことが」発覚し「30人前後が処分される見通し」だという。高校卒業後すぐの未成年学生が混じっていたのである。
記事は続いて、施設内で「みだらな行為」をしていた男女の護衛官(皇宮警察所属)や入浴中の同僚女性を「のぞき見」した男性護衛官も処分されることになった、とする。
みだらな行為やのぞき見の方は、確かに処分も当然だろう。しかし、未成年学生の懇親会での飲酒の方はどうだろうか。
未成年者の飲酒は、大正十一年(一九二二年)の未成年者飲酒禁止法で禁止されているし、喫煙も明治三十三年(一九〇〇年)の未成年者喫煙禁止法で禁止されている。しかし、現実にこれがどれだけ守られているか。
五十年ほど前の私の学生時代、政治問題や学内問題で学生たちが騒ぎ、一九六九年には大学管理法が成立するまでになった(二〇〇一年に廃止された)。この法律の成立自体がまた運動の標的となった。しかし、私は大管法など敢えて作らなくても、未成年者飲酒・喫煙禁止法で学生をいくらでも取り締まれるではないかと思った。
当時入学シーズンになると、自治会や政治党派、またそれらの息のかかったサークル、思想傾向が近いゼミなどが新入生を勧誘し、歓迎コンパを開いた。新入生の大半は未成年だし、在校生の中にも未成年者はいる。そこへ警官が踏み込めば一網打尽ではないか。