「家にこもっていると体をあまり動かさないため食欲が進まず栄養不足になり、筋肉量も減少する。これまでできていた運動が困難になり、骨粗鬆症や膝痛、腰痛などの関節疾患とともに転倒や骨折リスクが増え、最終的には寝たきりになってしまいます」(北村氏)

◆座りすぎで死亡リスク32%増

 長時間、家にいるリスクはそれだけではない。「座りすぎ」も病気の原因になる。WHO(世界保健機関)は2011年、「“座って動かない生活”は肥満や糖尿病、高血圧、がんなどの病気を誘発し、世界で年間200万人の死因になっている」と発表した。北村氏が解説する。

「体のなかでいちばん大きな筋肉は太股にある大腿四頭筋ですが、長期間座ったままでいるとこの筋肉がまったく動かず、全身の血液循環が悪くなる。

 その結果、血管が詰まりやすくなり、高血圧や動脈硬化が進みます。エコノミークラス症候群と同様、血栓ができやすくなることで、肺塞栓や脳卒中など他のさまざまな病気の引き金にもなります」

 オーストラリアのシドニー大学は2012年、45歳以上の22万人の男女を3年以上追跡し、「座っている時間」と「死亡リスク」の関係を調べた研究結果を発表した。1日11時間以上座っている人は、4時間未満の人に比べて、死亡リスクが男性で32%、女性では62%も高まったという。

 さらに「テレビの見すぎ」も危険だ。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された論文によると、英国の研究チームが、50歳以上の男女約3600人を対象に単語記憶テストを実施。1日当たりのテレビ視聴時間と認知機能との関係を調査した。6年間の間隔を空けてテストを行なうと、テレビの視聴時間が1日平均3.5時間以上の人は、3.5時間未満の人に比べて、著しく記憶力が低下していたという。

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