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北の湖はなぜあそこまで嫌われたのか、その伝説の数々

北の湖は「憎たらしいほど強い」と言われた(時事通信フォト)

 双葉山、大鵬と並ぶ昭和の大横綱・北の湖。大関を3場所で通過し、21歳2か月という史上最年少での横綱昇進の記録を持つ。横綱在位10年で優勝24回は大鵬に次ぐ当時歴代2位、横綱通算670勝などの記録を残したが、「憎たらしいほど強い」と称された。

「稽古場ではちぎっては投げの連続で、本場所でも右上手を取れば盤石。左四つへの巻き替えも機敏で、簡単には負けなかった。強烈なカチ上げで相手を一発で土俵際まで吹き飛ばすと、そのまま土俵下に叩きつける。そしてクルッと体を反転させると、喜ぶ素振りも見せずに引き返していく」(相撲担当記者)

 その強さと悪態でアンチが増えていった北の湖だが、6年にわたり横綱・輪島と「輪湖時代」を築いた。特に1976~1977年にかけては2人で各5回の優勝を飾り、千秋楽決戦は7回。栃若(栃錦と初代若乃花)や柏鵬(柏戸と大鵬)に並ぶライバル関係を築いたが「戦後最大のヒール」となった大きな理由のひとつは、“角界のプリンス”と呼ばれた貴ノ花の出世を阻んだことにあった。

「貴ノ花は、“蔵前の星”と騒がれた元学生横綱の輪島と同時に大関へ昇進し、『貴輪時代』の到来を予感して相撲人気が高まったところに割って入ったのが北の湖だった。

 特に人気抜群の貴ノ花を36勝10敗と寄せ付けず、貴ノ花が“万年大関”となる原因となった。日本人の判官びいきもあって、アンチ北の湖が多く誕生。1975年3月場所で貴ノ花が北の湖を優勝決定戦で破って初優勝を決めると、北の湖の独走優勝では1ケタのテレビ視聴率が50%台に跳ね上がった」(相撲ジャーナリスト)

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