放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、映画史・時代劇研究家である春日太一氏の著作によって「二スケ二ゾウ」という呼び方を初めて知ったことなど、時代劇を楽しめる著作についてお送りする。
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世界中がコロナにやられてショゲかえっている昨日今日、私のまわりの芸人達などライブも営業もどんどん無くなっていき「近頃はすっかり“キャンセル”を中心とした芸能活動です」と自嘲気味に笑う。こんな時こそひとりのゆっくりとした時間がとれるのだから、今こそ時代劇を楽しもう。10代20代の頃あんなに時代劇に心ときめいたのに……と考えていたらいいタイミングで春日太一『時代劇入門』(角川新書)が出た。当誌でも「役者は言葉でできている」という連載を持つ曲者だ、出会え出会え~ッである。
肩書きが「時代劇研究家」とどっしり腰をおろしているのがいい。○○エディターだとか、○○プランナーなんてカタカナでチャラいのは嫌だが、漢字六文字というのがいい。心はサムライである。『天才 勝新太郎』やら『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』なんて名著も出している。
神田伯山のラジオを聞いていたら「これだけ陰気な時代に、ひとりだけ幸せそうにしている男がいました。春日太一センセです。42歳で恋をしてるってんだからあきれます。一人幸せそうなんだよ。42つったら厄年だよ普通。春日太一と志らく師匠からはいま目が離せません」だとさ。そんな事より、オイッ伯山、お前だって真打昇進披露、何本もキャンセルくらってるじゃねぇかアハハ。