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馬券購入術「113の法則」には決定的な問題がある?

無観客でも馬たちは走っている

 誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、馬券購入術について考察する。

 * * *
 占いに凝る友人がいる。彼は競馬開催日の早朝、「どの種類の馬券を買うか」を占い、それに徹する。番号や色ではないところがユニークで、案外マトを射ていると感心したのだった。

 馬券のフォームだ。「いつでも3連複」でなくとも「今日は馬連」でいいのだろう。単複だの馬連だの3連複だのと、そのときどきで悩まなくていい。競馬は迷いの連続である。なるべく迷いの要素は極力少なくしたいではないか。ちなみに将棋の加藤一二三元名人も「盤面以外で考えたくない」と、対局の昼食は常に鰻重と決めていた。名人のフォームである。

 ある小雨の日曜日、わたしは「各レース、複勝を1点のみ」と決めた。目標設定はプラス1万円。これはと思った馬3頭のうち高配当を狙う。オッズを見上げるのはパドックから馬が去ったあと。どの馬がメダルを取る? 瞬きせずに検討する。

 果たして、午後3時を回った。10レース終了時点でプラスしていれば十分だが、悪戦苦闘の末にマイナス1万強。最終レースをパスしてさっと帰途につきたい。さて11レース、どういくか。

 目標額に届くように賭けるのである。高配当の馬券に色目を使わず、あくまで複勝。狙う馬の複勝オッズが3倍とすれば、1万円投入の的中でプラス1万円。万札をケチってはいけない。

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