国内

原宿駅と国立駅の木造駅舎 あまりに対照的な「解体後」

原宿駅の新駅舎(手前)と旧駅舎(時事通信フォト)

原宿駅の新駅舎(手前)と旧駅舎(時事通信フォト)

 東京五輪のために、東京都内では様々なものが作り替えられている。そのうちのひとつ、JR原宿駅が新しくなった。木造の尖塔つきの木造屋根に白い外壁が特徴的だった駅舎から、ガラス張りの広々とした新駅になった。旧駅舎はまだあるのでその姿は竹下通りからものぞむことができるが、解体が決まっている。都内最古の木造駅舎だった原宿駅は、解体されてどこへゆくのか、ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 高輪ゲートウェイ駅は、3月14日に開業を迎えた。当日は、あいにくの空模様だったが、それにもかかわらず多くのファンが駅に詰めかけた。約半世紀ぶりに誕生した山手線の新駅は大きな注目を浴び、「高輪ゲートウェイ駅」と印字されたきっぷを買い求めようとする人たちが長蛇の列をつくった。

 今春は高輪ゲートウェイ駅のように新駅開業という新しい節目を迎える駅もある一方、これまで慣れ親しんだ駅舎がその役目に幕をおろした駅もある。

 新駅開業から1週間後となる3月20日には、木造駅舎の原宿駅が役目を終えた。翌日から新駅舎が供用を開始。これまでの原宿駅は、その利用者数に比してホームが1面という狭小な構造だった。

 そのため、山手線の内回り・外回りの乗降客がひとつのホームに集中する。多くの人がホームに滞留すれば、利用者がホームから転落する危険性が高まる。それは山手線の運行停止を招く。

 定時運行を確保し、安全性を高めるためにホームの増設もしくは拡幅が求められた。原宿駅には正月の明治神宮参拝用の臨時ホームがあり、それを常用化する形で山手線の内回りと外回りのホームを分離。合わせて、駅舎を改築した。こうした経緯で、原宿駅は木造駅舎の供用を停止。新駅舎が原宿の新たな顔になった。

 木造駅舎でもある旧原宿駅舎は、1924年に竣工。大正期に竣工した木造駅舎は生き残りが少なく、原宿駅は都内では最古の木造駅舎だった。原宿駅を設計した鉄道省の長谷川肇は2代目・横浜駅も担当している。残念ながら長谷川のデザインした2代目横浜駅舎は関東大震災で倒壊したが、原宿駅舎は震災も戦災もくぐり抜け、1964五輪・バブルといった東京が大改造された時代をも乗り越えた。

 そして、老朽化しても現役駅舎として生き抜き、平成の30年間も完走。しかし、ついに新駅舎に役目を譲り渡すことになる。

関連記事

トピックス

ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
大阪・夢洲カジノ用地の評価額が「隣接地の3分の1」で「安すぎる」との疑惑 “文書隠蔽”も疑われ「森友学園問題と重なる部分がある」と識者指摘
大阪・夢洲カジノ用地の評価額が「隣接地の3分の1」で「安すぎる」との疑惑 “文書隠蔽”も疑われ「森友学園問題と重なる部分がある」と識者指摘
マネーポストWEB
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン