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コロナによる病院閉鎖の恐怖 がん治療や人工透析中断の恐れも

命にかかわる治療も(写真/AFLO)

 国立病院機構大分医療センター(大分市)で発生した新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)では、患者の転院先の医療機関でも感染が確認され、休診する病院が相次いだ。

 その中でも、大分岡病院(大分市)では予定されていた手術を可能な限り延期すると発表した。きくち総合診療クリニック理事長の菊池大和医師がいう。

「集団感染が起きた医療機関では、感染を拡大させないことが最優先されるため、緊急度の高くない手術を延期せざるを得なくなる。心筋梗塞や脳梗塞などの緊急手術を要する患者は受け入れるが、そうでない鼠径(そけい)ヘルニア手術や胃がん、大腸がんの切除手術は、事前に予定していたとしても数日間は延期される可能性があると推測されます」

 通院している人も、治療を中断されかねない。

「かかりつけのクリニックや病院が休診してしまった場合、がん患者が通院で受けている『放射線治療』や『化学療法(抗がん剤治療)』が中断することがあり得ます」

 そう指摘するのは、東京大学医学部附属病院放射線治療部門長の中川恵一医師だ。

 がん治療は「手術」「放射線」「抗がん剤」が三大療法といわれる。早期発見で切除できる場合は手術の選択肢が選ばれることも多いが、がんの部位やステージ、患者の年齢や体力などによって「放射線」「抗がん剤」による治療が行なわれる。中川医師が解説する。

「放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた『化学放射線療法』は、食道がんなどの標準治療とされ、週5日、最大8週間の通院治療を実施します。

 もし病院が数週間にわたって休診してしまい、化学放射線療法の中断期間が長引くと、その分だけがん細胞が増大したり転移するリスクが高まる。治療を再開しても、その後の治癒率や生存率が下がる怖れがあります」

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