ドラマ化もされ人気のロングセラーコミック『深夜食堂』。その作者・安倍夜郎氏に、安倍氏との食にまつわる共著がある文筆家・漫画家・編集者の左古文男氏が創作秘話を聞いた。2人の対談で登場する作中に登場するメニューのモデルとなった店の逸品も紹介する。
左古:『ビッグコミックオリジナル』で連載中の『深夜食堂』は、毎回、料理にまつわる話が描かれているわけですが、ストーリーはどのように考えているのですか。
安倍:近所の駅前のビルにある「とんかつ和幸」に、平日の昼間行くとお年寄りばかりなんです。年寄りって、けっこう肉食うんだなと思って、それが漫画のネタになりました。
左古:とんかつ好きの老人の話が浮かぶわけですか?
安倍:とんかつは以前描いたのでビフカツにしました。駅ビルにある「つばめグリル」でも、足元も覚束ないお婆さんが一人でハンブルグステーキ食べていたりしますからね。
左古:確か「ビフカツ」の回が、74歳でアチラの方も“現役”というバアさんコンビの話でしたね(笑い)。長寿の人は肉好きが多いと聞きますけど、ほんとうみたいですね。
安倍:若者は濃い目の味付けの肉料理で白飯をガッツリ食べますが、老人は食も細いでしょうから、量というよりも質がいい肉を楽しんで食べている印象があります。