放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、大衆芸能がらみの書籍の数々についてお送りする。
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三月も終わりだというのにコロナだらけの毎日。こんな時こそのんびり、ためにならない本ばかり読むのは如何。最近送ってきてもらった本やら書店でみつけた大衆芸能がらみの本を一気に紹介。
芸能に携わるということは、ほとんどカタギではないこと(「カタギの芸能」きいただけでつまらなそう)。
まずは北野武『大親分!』(河出新書)。新書で小説を読ませるという新パターンの悪知恵。若い頃からこの著者を知る私としては、なんたって昔からヤクザの話がバツグンに面白い。
喋って良し、書いて良し、映画化しても尚良しである。この男のこの節の量産ぶりには、目を見張って閉じる私である。
このDNAを色濃く受け継いだ玉袋筋太郎『大衆酒場の作法 煮込み編』(扶桑社)。この玉はBSのテレビでは「町中華」をやり、自身「スナック」をやり、こうして「大衆酒場」を紹介しまくる。二日酔いを中心とした芸能表現をひたすら追求する。近頃では珍しくなった破滅型芸人の健在を嬉しく思う。
関西へ目をやれば東野幸治『この素晴らしき世界』(新潮社)。テレビでみせる人でなしぶりとは逆に、裏へまわれば物凄いゴシップコレクター。とどのつまり人間が好きなのだろう。吉本の大ベテランから売れてない若手まで、その人間くささがたまらなくおかしい。