突然の発作や体調不良に見舞われたとき、患者の命を守る砦となるのが救急医療である。だが新型コロナは、救急医療のシステムを破壊する。典型例がイタリア北部のロンバルディア州ベルガモで発生した医療崩壊だ。
「拠点病院である聖ヨハネ病院はこれまで緊急通報番号の112番に電話をすると90秒以内に救急車が出動して、患者は30分以内に手術室に到達していた。しかし、現在は道路も閉鎖され、電話回線が混雑しているので心臓発作の通報をしても1時間は待たされます。救急職員も続々と感染して現場を離れており、救急正常化の目途はまったく立っていません」(在欧日本人ジャーナリスト)
これは、決して遠い国の出来事ではない。日本でも、大分県東部の救急医療に黄信号が灯った。
新型コロナの集団感染が発生した国立病院機構大分医療センター(大分市)は、3月19日から30日まですべての外来の受け入れを中止。感染者の転院先である佐賀関病院(大分市)も3月23日から4月5日まで外来診療を原則中止する。
「大分医療センターは救急患者を手広く受け入れる地域の拠点病院で、佐賀関病院は救急指定病院です。両院とも救急患者の受け入れを休止したため、大分市東部では患者を受け入れる救急病院がなくなりました。他地域の救急受け入れ病院までは距離があり、救急対応に不安が残ります」(地元記者)
◆1分で10%救命率が下がる